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輸経済研究センター、平成7年)では、バスターミナルや旅客船ターミナル等におけるエスカレータやスロープ、手すり等の設備の有無に着目し、各項目毎に配点して総合得点を算出する白主点検マニュアルを作成している。
しかしながら、従来の研究は、「駅の構造」や「階段の段差による利用抵抗」というような因子を含んでいなかったり、単にエスカレータ等の設備の有無のみを評価するなどの方法によっており、得られる結論としても「身体的移動制約の重い人には現在の公共交通機関(バス)の利用行動は大きな抵抗となっている」という域をでないものが多かった。
そこで以下では、従来の研究を参考にしながら、実際に高齢者や障害者が、ある動線に沿って移動する場合の障害度(バリアレベル)を数値化し、「駅構造の改善」や「ルートによる違い」という要素を含めた「やさしさ」を統一的に判断するための定量的評価方法についての研究例(東京大学工学部鎌田研究室)を紹介する。

 

(3)累積ストレス(“cumulativestress”)によるやさしさ評価法
?「移動」のストレスとその因子
人の「移動」において加わるストレスを決定する因子を
a. 蓄積疲れ[cumulative fatigue=f1
b. 障害度[barrier=b]
c. 所要時間[total time=t]
d. 運賃[total fare=¥]
の4つと設定し、公共交通機関利用時のストレスを、
S(f,b,t、¥)=f+b+μt+ν¥
[ここでμ、νはそれぞれ「時間」「運賃」を「ストレス」に換算する係数である]
μを時間指向(その人がどれだけ急いでいるか)係数
νを倹約指向(その人の財布の紐の堅さ)係数
と表すこととする。
?蓄積疲れ(“cumlative fatigue”)
健常者の歩行速度を5、高齢者の歩行速度を3とすると、
健常者と高齢者の体力比は5:3
疲れ易さは3:5(逆比をとって)[≒1:1.6]
で表すことができる。

 

 

 

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